浮気相手に対する慰謝料請求


悩む女性
 

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 配偶者以外の異性との性的関係は民法上の離婚原因に該当し、配偶者が不貞行為を働いた場合には、離婚を請求することが出来ます。
 このようなケースは、婚姻関係が破綻に至った原因は不貞行為を働いた配偶者の側にあることは明らかなため、夫婦の他方は不貞行為を働いた配偶者に対し、離婚の請求だけでなく精神的損害を被ったとして慰謝料請求をすることもできます。
 このとき、不貞行為を働いた配偶者に対してだけではなく、配偶者の浮気相手に対しても慰謝料請求を行うことが出来ます。不貞行為は一人で出来るものではなく、浮気相手の行為があってこそ成立するものだからです。法律的には共同不法行為といいます。
 この時に配偶者と浮気相手のどちらに慰謝料請求するかは、請求する側の自由です。

 具体的には、1. 配偶者のみに請求する 2. 浮気相手のみに請求する 3. 両者に対し共同で請求する との3パターンが考えられます。誰に対し民事上のペナルティを与えたいか、或いはどちらの方が返済能力が高いか等を考慮した上、誰を相手に慰謝料請求するかを決定します。
 また、配偶者の浮気・不倫により夫婦関係が破綻しかけたものの、離婚に至らなかった場合でも浮気・不倫の相手に慰謝料請求はできます。

 

慰謝料請求の具体的手続

チェックポイント
 

 配偶者や浮気相手に慰謝料請求をする場合以下の手続きを踏んでいきます。相手方が素直に折れれば訴訟までいかず解決することもあります。

 

内容証明の送付

 浮気相手に対して慰謝料請求を行うに際しては、通常本人名か弁護士名で不貞行為に対し慰謝料請求を行う旨、内容証明を送付することから始まります。
 比較的簡単な書面であるためご本人でも作成が可能ですが、その後の交渉、裁判への発展を考えると内容証明の作成から弁護士に委任されることをお勧めします。もし内容証明に対し浮気相手が事実を認め、慰謝料の支払について合意が出来れば、それで終了です。この時忘れてはならないのが示談書の作成です。

 

訴訟

 1.の内容証明送付によっても問題が解決せず、話し合いが出来ない状態で浮気相手が事実関係を争うような場合には、地方裁判所ないし簡易裁判所に訴訟を提起します。
 そこで相手方が事実関係を認めるなどして、話し合いが成立すれば和解により終了です。仮に最後まで事実を争そったり、話し合いによる解決が見込まれない場合には、最終的に裁判所の判決によりどちらの言い分が正しいか判断が示されます。
 判決の内容に不服がある場合には控訴して、上級の裁判所で再度裁判を受けることが出来ます。

 

強制執行

 訴訟の結果勝訴判決が出た、或いは裁判上の和解をしたにも関わらず相手方が支払を行わないというような場合には、裁判所に申立を行い履行を強制します。これを強制執行と言います。具体的には相手方の給与、預貯金、不動産、自動車等を差し押さえます。強制執行により支払を受ければそれで手続は完了です。

 

慰謝料請求の相手方への対応

分かれ道や岐路イメージ
 

 配偶者の浮気や不倫等の不貞行為が発覚した場合には、配偶者だけではなく配偶者の浮気相手に対しても慰謝料請求が可能です。慰謝料請求先を決める際には相手方の状況を考慮して決定すると良いと考えられます。

 

浮気相手の名前・所在等が不明の場合

 相手方に慰謝料を請求するために裁判手続や内容証明の送付を行おうとしても、相手方がどこに住む誰なのかが分からなければ手続を進めることは出来ません。例えば配偶者の携帯電話に浮気を匂わすメールを発見したとしても、配偶者が誰とやり取りしていたか分からなければ、浮気相手に対して慰謝料請求を行うことは困難です。この場合には基本的には配偶者に対して慰謝料請求を行うことになります。
 なお、相手方の自宅住所が不明であっても、勤務先等が判明していればそちらに書類を送付することによって、手続を行うことは可能です。

 

浮気相手の資力に不安がある場合

 配偶者の浮気相手が会社員・公務員等で安定した給与を受け取っているような場合には、給与を差し押さえて履行を強制することが可能になりますので、積極的に手続を進めるべきです。
 しかし、専業主婦や学生など、固有の収入がないパートや無職であった場合には請求先決定には十分に検討する必要があります。最終的に裁判等でこちらの請求が認められたとしても、相手方に支払能力がなければ最終的に履行を強制することが困難なためです。

 

浮気相手が、配偶者が既婚者であることを知らなかった場合

 もしも浮気相手があなたの配偶者が既婚者であることを知らなかった場合には、そもそもあなたの家庭を破壊する意思が認められないことになるため、慰謝料請求が棄却される場合があります。
 不貞行為に対する慰謝料請求は、不貞行為が民法上の不法行為に該当することを根拠に行われるためです。不法行為の成立のためには、故意又は過失によって、相手方に損害を与えることが必要になります。

 

浮気相手から予想される反論とその対策

123の選択肢
 

 内容証明あるいは民事訴訟によって慰謝料請求をした場合、浮気相手から以下のような反論をされることが予想されます。

 

不貞行為の事実はない

 そもそも不貞行為は行っていないとの反論です。相手方が事実関係を認めない場合には、慰謝料請求をする側で不貞行為の事実を立証しなければなりません。訴訟提起に際しては入念に証拠を集めておくことが必要です。

 

慰謝料請求には、証拠が必要

 浮気・不倫相手への慰謝料請求には、浮気・不倫の事実があったことを突き止める証拠を示しすことが不可欠です。浮気・不倫の事実の証拠になるものは以下のようなものです。

 

写真
腕を組んで歩いている所や車内で抱擁していた現場など
日記や手帳
浮気・不倫の相手方が異性関係を記した日記や手帳は証拠として決定的な価値があります。
手紙やメモ類
浮気・不倫の相手方の書いた手紙は、証拠として価値があります。異性関係が記されていれば、決定的な証拠になります。
メール
メールは改ざんが簡単にできそうですから、浮気・不倫の相手方からのメールであっても、証拠としての価値は手紙やメモより劣る可能性があります。
携帯電話の記録
配偶者の交際範囲を知っておかなければなりません。その交際の範囲と電話の記録が一致するかどうか。日ごろの観察が必要です。

 

 その他にも下記などが挙げられます。

  • 友人、関係者、探偵社・興信所などの第三者の証言
  • 相手からの手紙や贈り物
  • 相手と宿泊した時のホテルの領収書
  • 不貞行為の裏づけとなるクレジットカードの明細

 

配偶者が既婚者であることは知らなかった

 配偶者が既婚者であることを黙っていたような場合には、浮気相手は浮気であったとはしらなかったということであるため、浮気相手に家庭を破壊する意思が認められず不法行為が成立しない結果、慰謝料請求が棄却される可能性があります。
 携帯電話のメールや手紙などから、既婚者であることを認識しているかのような記載が見つかれば、浮気相手の主張に理由がないことを証明できます。

 

慰謝料請求権は時効により消滅している

 慰謝料請求権は、不貞行為を認識した日から起算して3年で時効にかかります。しかし内容証明を送付しておけば一旦時効は中断し、それから6ヶ月以内に訴訟を提起すれば消滅時効にはかかりません。時効が迫っている場合には、まずは内容証明を送付して時間を稼ぐことも検討するべきです。

 

離婚に際して配偶者から慰謝料が支払済みである

 慰謝料請求は配偶者と浮気相手の一方ないし双方に行うことが出来ますが、既にいずれかから支払がなされた部分については、他方に対して請求を行うことは出来ません。
 例えば慰謝料として認定されるべき金額が300万円の場合、離婚に際して配偶者から300万円の慰謝料を受け取っている場合には、更に浮気相手に対して慰謝料請求を行うことは出来ません。

 

不貞行為があった時点では、既に夫婦関係は破綻していた

 長期の別居等により、既に夫婦生活の実態がなくなった後に行われた不貞行為の場合には、そもそも不貞行為によって夫婦関係が破綻したとは言えないため、慰謝料請求が認められない場合があります。

 

まだ離婚をしていない

 離婚成立に至っていない、或いは今後も離婚をする予定はないという場合には、被った損害は軽微であるから金額を減額すべきとの反論です。一般に離婚の予定がない場合には、判決になっても認められる金額は大幅に減額される傾向があります。
 相手方の言い分にも一定の理があると思われる場合には、必ずしも判決にはこだわることが得策ではない場合もあります。そのような場合には和解による解決も検討するべきです。

 

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