娘が離婚し、孫の親権は娘の元夫が行うことになったのですが、元夫は、孫に暴力を振るい、育児放棄を行うようになり心配です。自分たちに何かできることはないのでしょうか。


娘が最近離婚しました。孫の親権は娘の元夫が行うことになったのですが、元夫は、離婚をきっかけに、孫に暴力を振るい、食事や病気になっても手当をしないなどの育児放棄を行うようになり心配です。しかし、娘は動こうとしません。自分たちに何かできることはないのでしょうか。


 親権者による親権が不適切であり、子の利益を害しているときは、家庭裁判所に①親権喪失の審判、②親権停止の審判を申し立てることで、親権を制限することができます。

 まず、親権の濫用があった場合に、子の親族など(親権を持ってない方の親や祖父母など)が、家庭裁判所に「①親権喪失の審判」を申し立てることにより、親権者から親権を無制限に奪うことができます。
 もっとも、親権喪失の審判は、親権者であった親と子との間の関係を断ち切ってしまうことになり、要件も厳格であるためあまり用いられておりません。
 そこで、期間を限って親権を制限すれば改善が期待できるという場合に、最長2年という期限付きで親権者の親権を制限する、「②親権停止の審判」の制度が設けられています。

 なお、親権者が、子に対する監護養育には問題がないとしても、財産管理や法律行為の代理等を任せておくのは適当ではないという場合には、「③管理権喪失の審判」を申し立てることにより、親権者の管理権のみを制限することもできます。
 上記審判により子の親権や管理権が制限された結果、親権や管理権を行う者がいなくなった場合には、未成年後見人が選任されることになります。

 また、上記審判は、親権者自体を変更するものではありませんので、上記審判が取り消されると、制限された親権は回復します。根本的な解決を図りたいという場合には、親なら親権者の変更、祖父母などの親族なら養子縁組など、現在の親権者から完全に親権を奪う方法を検討するべきでしょう。     

 

 

 

048-940-3971 受付時間 平日9:00〜22:00 土曜10:00〜18:00