財産分与と調査嘱託


私は現在、夫を相手方として、離婚の調停の手続を行っています。調停では、財産分与についての協議が中心になっていますが、いくら調停委員が説得をしても、夫は夫が持っているはずの預金口座の情報を開示しようとしません。夫が開示しようとしない預金口座の金融機関名や支店名は分かっています。色々調べる中で調査嘱託という制度があると聞きましたが、調査嘱託とは具体的にどのような制度なのでしょうか。



 調査嘱託とは、家庭裁判所が、他の機関(今回でいえば銀行など)に調査を嘱託したり、必要な事項についての報告を求めることができる制度です(家事事件手続法258条1項、同62条)。

 今回のようなケースでいえば、裁判所が調査嘱託を行い、夫が開示しようとしない預金口座について、裁判所が当該金融機関に調査・報告を求めることにより、預金残高や取引履歴を開示させることができることとなります。

 ただし、実務上、裁判所が調停段階で調査嘱託を行うことは少なく、調停から裁判に移行しなければ、調査嘱託は実際されない傾向にあります。
 また、裁判所が職権で、調査嘱託を行うことも少なく、他方当事者(今回のケースで言えば妻側)の側で、裁判所に対して調査嘱託を行うよう求める必要があり、その際、他方当事者の側で、金融機関名や支店名を特定しなければなりません。

 以上のように、調査嘱託は発動されれば、強力な効果を持つものの、調査嘱託を実施するためには、一定のハードルがあるため、同様のケースで悩まれている方は、弁護士に相談することをおすすめします。  

 

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