財産分与の対象財産の基準時について


私は、三郷市に住んでいますが、5年前に別居した夫との間で、離婚の協議を行っており、現在、夫婦で築いた財産をどのように分けるか(清算的財産分与)が問題になっています。夫は、別居して以降に開設した私名義の預金も考慮して、財産分与の金額を計算すべきであると主張していますが、この預金の大部分は、別居して以降私が働いて得た収入が占めるため、財産分与の対象とすることには納得がいきません。この点については、どのように考えればよいのでしょうか。



 前提として、財産分与には、①清算的財産分与、②扶養的財産分与、③慰謝料的財産分与の3種類があるとされますが、今回は①の財産分与に絞って説明します。

 清算的財産分与は、夫婦が婚姻生活中に形成した財産を、夫婦で分け合うということを内容としているため、清算的財産分与の対象となる財産の基準時は、原則として、別居時、ということとされています。別居して以降の財産は夫婦が協力して築いた財産ではない、と考えられるケースが多いからです。

 逆に言えば、別居して以降も、夫婦が協力して築いた財産であると認められれば、当該財産に関しては、清算的財産分与の対象財産となると考える余地も出てきます。

 そのため、ご質問の妻名義の預金については、別居時か離婚時かだけではなく、預金が実質的にどのように形成されたのかを検討する必要があるでしょう。今回のケースのように、別居後に働いて得た収入しか預金の中に入っていないのであれば、この預金については財産分与の対象としない、とすることが多いと思われます。

 

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