妊娠が判明した時点で、相手の男性とは別れてしまっていたこともあり、相手の男性と話し合い、自分で中絶することを決めました。相手の男性に対して損害の賠償請求は認められるのでしょうか。


交際中の(結婚も結婚の約束もしていない)男性と性交渉を行い、その後妊娠していることが判明しました。妊娠が判明した時点で、相手の男性とは別れてしまっていたこともあり、相手の男性と話し合い、自分で中絶することを決めました。ただ、私だけ辛い思いをしたことについては納得がいきませんので、相手の男性に対して損害の賠償を請求したいと思いますが、こうした場合請求は認められるのでしょうか。



 この質問と似たケースで、裁判所が、中絶した女性に200万円の精神的損害が生じたことを認め、これと女性が負担した治療費等の金額を合計した金額のうち、2分の1の金額を男性側に支払うことを命じたものがあります(東京地裁平成21年5月27日判決)。
 
 ここで注意すべきことは、この判決は、あくまでも男性が女性の精神的、肉体的な苦痛や経済的負担を軽減又は解消するための行為を行う義務を果たさなかったことを理由として、男性の責任を例外的に認めたものにすぎず、女性に中絶をさせたこと自体についての男性の責任を認めているわけではありません。
 そのため、この判決を前提としても、男性が女性の負担を軽減又は解消するための行為を行っていたり、男性が妊娠の事実を知らされていなかったりした場合などには、裁判所の判断は変わる可能性があります。
 
また、慰謝料の金額についても、男女の交際の程度、妊娠発覚後の事情、中絶することを決定したのがどちらかなど、具体的な事情によって、増減することがあるでしょう。
 
 このように、実際には様々な事情を考慮して判断がなされることになりますので、上記のようなケースでお悩みの方は、当事務所に一度ご相談にいらしていただければと思います。

 
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