事例4 離婚成立までの生活費と、離婚に伴う適正な財産給付を受けた事案

事案

家族状況

元夫  :50代後半(以下夫)

相談者:50代後半女性(以下相談者)

子供  :有(すでに独立)

 

相談時の状況

相手方(夫)と、相談者(妻)は、昭和50年代に婚姻した熟年夫婦でした。
相談者夫婦には子供がいましたが、すでに成人して独立していました。


相手方(夫)は公務員で、相談者(妻)は専業主婦でしたが、相談者(妻)と相手方(夫)が口論となった際、
平手で叩かれたことを契機に相談者(妻)が自宅を飛び出る形で別居を開始しました。

 

相談者(妻)は、専業主婦のため、十分な蓄えがなく、年齢も50代後半であったため、一人では十分な収入が得られません。

 

そこで、当面の生活費の支払いを相手方(夫)に要求しましたが、相手方(夫)は、勝手に出て行ったのだから生活費を渡す

必要はないと主張してこれを拒否したため、困った相談者(妻)に相談に来ました。

 

解決に至るまで

当事務所の弁護士が依頼を受けて、速やかに生活費の分担の調停申し立てを行いました。

 

調停手続で相手方は、給与から様々な控除をされると、自分の生活だけで精一杯であるとの主張をし、生活費の支払いを拒否していましたが、当事務所の弁護士が、勤務先に照会をし、控除されている具体的な費目の半数が、あくまで任意でかけている共済保険や積立金であることを主張したところ、裁判所も相手方(夫)の主張には理由がないことを認めたため、最終的には月額約8万円と、それまで未払いであった生活費の一括払いを内容とする調停が成立しました。

 

さらに相談者(妻)は、相手方(夫)との生活に窮屈さを感じており、最終的には暴力まで受けたことから、離婚を希望していました。相手方(夫)は離婚を拒否しており、仮に離婚するとしても、お金がないので財産給付はできないと主張していました。

 

そこで、さらに離婚の調停を申し立て、夫の財産関係を調査したところ、調停申し立ての時点で、相手方(夫)は退職時期が迫っていたこと、退職時には退職金が十分に支払われること、自宅のローンも、支払完了が近づいていること等が判明しました。

 

また、相談者(妻)は、相手方(夫)と今後の人生を同居して生活することは絶対にあり得えないと考えていたため、その点も調停委員を通じて相手方(夫)説得したところ、最終的には、退職金を含めた資産の評価額の約半額である1000万円の現金支給と、年金分割を認める内容で離婚を成立させることになりました。

 

解決のポイント

1 離婚までの適正な生活費を認めさせることで、依頼者の当面の生活に対する不安を解消することができました。

 

2 退職金が支給される前に、退職金も財産分与の対象に事実上含ませて離婚を成立させることで、依頼者の離婚後の生活の経済的な不安を解消させることができました。

 

3 相談者は、ご自分の主張が間違っている、と、長年相手方(夫)から高圧的に言われ続けていたため、当初は不安感を強く感じていたようですが、最終的には相談者(妻)の希望がほぼ全て認められたため、離婚成立時には、今後の人生を自由に生きられる、と、とても喜ばれていたことが印象的な事案でした。

 

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