事例12 日常的に夫から暴力を受けていた妻に対し、離婚訴訟において慰謝料や養育費が認められた事例

事案

日常的に夫から暴力を受けていた妻に対し、配偶者暴力に関する保護命令申立が認められ、
かつ生活費の支払いを命じる審判に基づき差押えを行って給与から生活費を回収し、
その後の離婚訴訟において慰謝料や養育費の支払いが命じられた事例 

 

家族状況

相談者:40代女性(以下相談者)子ども 3歳
夫   :40代男性(以下夫) 

 

相談時の状況

 

相談者は、約4年前に夫と結婚し、1児をもうけましたが、婚姻後まもなく夫から日常的な殴る蹴るなどの暴力や、「死ね」「お前をみているとむかつく」などの暴言を受けるようになりました。

 相談者は暴力により、頻繁にあざができ、耳から出血するほどの怪我を負うこともあったため、離婚を考えましたが、子どもがまだ小さいこともあり、夫の更生を信じて生活を続けました。


 しかし、暴力と暴言がやむことはなく、ある日、包丁を突き付けられ、「殺すぞ」と脅されたため、相談者は命の危険を感じ、離婚を決意し、子どもを連れて別居を始めました。


 ところが、その後も夫が脅迫めいたメールや電話が続き、子どもに会おうと幼稚園に押し掛けたため、相談者は夫の暴力から逃れる方法はないかと当事務所に訪れました。 

 

解決に至るまで

 当事務所は、速やかに保護命令申立の準備に着手しました。保護命令とは、配偶者から暴力を受けるおそれのある妻を保護するため、裁判所から当該配偶者に対し、一定期間、妻(及び妻と同居する子)に近寄らないよう命令するものです。当該配偶者がこれに反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

 

もっとも、相談者は経済的・時間的に余裕がなかったため、怪我をしても病院にいったことがなく、また、「大事にしたくない」という思いから、警察に通報したこともありませんでした。そのため、病院の診断書や警察の調書など、暴力を受けていた客観的な証拠が殆どありませんでした。

 

そこで、当事務所の弁護士が相談者から事情を聞いたところ、夫は過去に自分の暴力を止めてもらおうと、自ら警察に通報したことが判明しました。弁護士は、相談者から警察に対し個人情報開示を求めるよう指示し、結果、夫が相談者を殴った事実が記載されている資料を取得することができました。 

 

 

夫は暴力を振るったことを認めませんでしたが、裁判所は、これらの証拠をもとに保護命令の決定を下しました。

 

 

 この結果、相談者は夫の暴力に怯えることなく、平穏に日常を送ることができました。弁護士は、並行して生活費の支払いを求める申し立てを行い、裁判所の審判を取得して給与を差し押さえました。さらに離婚手続にも着手し、訴訟において、夫に対し慰謝料や養育費の支払いが認められ、子の親権は相談者に指定された上で、無事離婚が成立しました。

 

解決のポイント

・客観的な証拠が少ない状況であっても、証拠の収集を弁護士に依頼したことで、無事保護命令の発令に至りました。


・生活費の支払いについて、審判を得て給与を差し押さえました。

  

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