将来債権の財産分与

将来債権の財産分与

 
 近年、将来夫が受け取るであろう年金や退職金が財産分与の対象となる場合が増えています。実際の判例でも、数年後の退職金の2分の1の取り分を認めたりする場合が増えてきています。

 最初に、将来受け取ることになるであろう年金に関する扱いについて述べます。

 平成19年に、夫と妻が婚姻中にそれぞれ働いて納付した厚生年金保険料を合計し,それを二人で分けるという制度が始まりました。
 この制度により,分割された厚生年金については年金事務所から直接確実に受け取ることができるようになりました(ただし、分与した保険料そのものを受領できるものではありません。具体的な分与後の年金額は、年金事務所等に確認が必要です)。
 なお、扶養的財産分与に関する判例として夫の年金と妻の年金の差額の4割を妻の死亡まで払うことが命じられた例や、夫の年金額の約2分の1にあたる月14万5千円を妻が死亡するまで支払うことを命じた判決がありますが、上記年金分割の制度が創設されたことから、今後は基本的にこの制度の枠内で分与が認められて行くことになると思います。
 
 続いて、将来受け取るであろう退職金の扱いについてです。
 裁判例も分かれていますが、退職金が賃金の後払いと見なされる傾向が強いため、将来支給されることがほぼ確実である場合には、財産分与の対象財産となる傾向が強いといえます。退職までの年数が長い場合や、会社の経営状態が不安定で退職金が受け取れるかわからない場合は、分与の対象となる可能性は低くなっていきます。
 実務上は、別居時に自己都合で退職した場合の退職金相当額を基準とすることが多いようです。
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